2024年の栄えある最高峰日本酒という称号を手にした「松の司 純米吟醸 みずき」を味わう会を開催しました。蔵元様である松瀬酒造、松瀬専務をお迎えし、お話を伺いながら、受賞酒の他、土壌違い違いの味比べ、無農薬・無化学肥料栽培米製造の酒、日常に愛飲される通常酒などなどをじっくりとテイスティングしました。

なおこのセミナーは、第2回美酒コンクール2024審査員の方をメインに、「料飲おもてなしセミナー」の通算21回目として、SAKE女の会会員様もご一緒に参加いただきました。

松瀬酒造の歴史、近隣の気候風土、特に土壌と水に関しての興味深いお話から始まり、
当日の試飲酒の特徴を学びました。
試飲は以下5種。
1、純米大吟醸 竜王山田錦 土壌別仕込 「山中」
2,純米大吟醸 竜王山田錦 土壌別仕込 「駕與丁」
3,純米吟醸 みずき
4,松の司 純米大吟醸 Azolla50
5,純米吟醸 楽
そのほか、2種の特徴が違う仕込み水をご持参いただきました。

1と2は、いずれも地元竜王町の「環境こだわり農産物認証」を取得している山田錦。「山中」は、砂や砂礫土壌から生まれる山田錦で、味わいは軽快でややスマート。「駕與丁」は、粘土質から生まれる山田錦で、重厚感があり、ふくらみとコクがある仕上がり。日本酒でもワインのように土壌違いを感じることができる発見がありました!

3は、この度の【美酒 of the Year 2024】受賞酒。他のブランドとは違う、岡鑿泉工業所の井戸水を使用した、松の司としては、少し方向性の違うブランド。1,2,4、は「米の酒」ですが、この3は「水の酒」ともいえます。
味わいは、透明感がありスマートでしなやかな筋肉を持つ引き締まった印象。同時にみずみずしさも柔らかさも感じられ、ミネラル感を楽しめる味わい。まさに、受賞にふさわしい逸品。アルコールは13%。アフターはドライですっと消えていく。ライト&ドライ部門の金賞でもあります。

4,無農薬・無化学肥料栽培で育った竜王産山田錦のみを使用したオーガニック純米大吟醸で、酵母も蔵付き酵母で醸されています。Azolla(アゾラ)とは水田や湖に浮かぶウキクサの学名で、アゾラが水面を覆う事で雑草への光を遮断し、農薬に頼らずに雑草の成長を抑える働きがあるのだとか。味わいは、しっかりと米の存在感があり、十分な飲みごたえを感じます。

5,家呑み酒として愛飲されることも多いライトな純米吟醸酒。同じく竜王町産の山田錦と吟吹雪。穏やかななかに飽きのこない旨みがあり、実は、このセミナーで最も人気だったのがこれ。旨味と軽快さのバランスが絶妙。お燗にも向くタイプ。ラベルの「楽」のデザインも楽し気です。

当日は、地元から、めずらしい「味付け赤こんにゃく」と「モロコの佃煮」をお持ちいただき、滋賀の名産おつまみとのペアリングも体験できました。

お話の後、テイスティングとともに、さまざまな質問が飛び交い、アカデミックななかにも、和気あいあいとした雰囲気で、たいへん有意義な会となりました。松瀬酒造様、ご参加の皆様、ありがとうございました!