2023年の栄えある最高峰日本酒という称号を手にした「天山 純米全麹仕込み 20年熟成」を味わう会を開催しました。蔵元様である七田謙介社長をお迎えし、お話を伺いながら、熟成酒の他、新酒生酒や珍しい品種のお酒、スパークリングなど全5種類、じっくりとテイスティングしました。
なおこのセミナーは、第1回美酒コンクール2023審査員の方をご招待しつつ、コロナ禍で連続開催がむずかしかった「料飲おもてなしセミナー」の通算17回目として、SAKE女の会会員様もご一緒に参加いただきました。
まずは、七田社長の自己紹介と現在の蔵の様子から。
蔵に戻った経緯や修業時代の話。現在の蔵周辺の自然環境、新しくなった蔵内の様子を、最新のネット画像とドローン駆使のかっこいい動画で拝見。造りの哲学や日本酒市場のことにも触れました。
今まで、飲んではいたけど知らない情報満載で、参加の方々は興味深々です。
数年後には150周年を迎える蔵の歴史と現在をお話しいただきましたが、この先はどうしますか?という質問には、「不易流行」を忘れず邁進したいという力強い言葉も聞けました。
試飲は、以下5種類。
① 天山 スパークリング ドサージュゼロ
② 七田 純米大吟醸 生
③ 七田 純米吟醸 五百万石 生
④ 七田 75% 春陽
⑤ 天山 純米全麹仕込み 20年熟成
甘味添加ゼロの辛口スパークリングで乾杯し、出来立て新鮮な生酒を飲み比べ。
なんといっても、珍しい「春陽(しゅんよう)」という品種を使用したお酒に注目が集まりました。この「春陽」は、なんでも、腎臓疾患の方向けに造られた低グルテリン品種(たんぱく質が少ない)らしく、あえて75%磨きで米の個性を打ち出したとのこと。お酒にすると、まるでソーヴィニヨン・ブランのようなハーブ様の香りが立ちます。また、しっかりとした渋味があり、ビスケットのように芳ばしい余韻があります。白ワインのような赤ワインのような個性を感じるとても新しいスタイルのお酒です。もしかしたらこれから注目度が高まるかもしれませんよ。SAKE女としては、ここはぜひチェックしておきましょうね!
そして、なんといっても「20年熟成」。濃密で凝縮しているのに、軽快さもすっきりさも持ち合わせている逸品です。後味は上品な旨味が残り、心地いい余韻を長く楽しめます。
熟成酒の宿命でもありますが、同商品は今となればかなり数が少なく、同じものは造れません。製造当初はここまで変化すると想像しておらず、この瓶のまま熟成させる手間の上に、熟成中の澱の量があまりにも多く、大変な手間と労力を使ってここまできたそうです。20年を経た今、大変身を遂げた(解脱ともいうらしい!)魅力的な熟成酒を、たくさんの方に体験いただきたいものです。
小売価格は5,000円(500㎖)!
今回は、さまざまにチャレンジを重ねる天山ブランド、七田ブランドの魅力を垣間見れる会となりました。
ご参加の方のアンケートにも、「ゆっくりお話をうかがえ、集中できたことがとてもよかった」「七田さんの誠実なお人柄がよく伝わった」「日本酒セミナーは、やはり、蔵元様のお話が聞けることが価値!」といったご意見がありました。
ご参加の皆様、ありがとうございました。
次回は、注目のラグジュアリー日本酒「SAKE HUNDRED」を世に送り出した生駒龍史氏をお迎えします。お楽しみに。