大好評だった第2回美酒コンクール2024福井・北陸大会に続き、今年も「審査員対象の蔵巡り旅イベント」が審査日の翌日(月8日(月))に行われました。今年は関西大会ということで、日本酒のメッカでもある、灘2社と大阪1社の計3社をお訪ねします。コーディネートは同大会関西窓口の藤川智子さん。昨年、審査員として旅イベントに参加された経験と地元ならではの地の利を生かし、準備から当日アテンド、さらには通訳まで大活躍です。

審査翌日にもかかわらず、総勢44名、朝早くからの集合に遅れることなく、元気に出発。
まずは、剣菱酒造を訪問します。浜蔵兼瓶詰工場では、代表取締役社長白樫政孝氏、そして、女将の白樫式子代表取締役、さらにたくさんの従業員の方が迎えてくださいます。
2組に分かれ、酒造の現場と木樽の製造工場に太藁縄の製造所を丁寧にご説明いただきました。見学後は、白樫社長のセミナー。剣菱の歴史、哲学、「地酒と下り酒の違い」、ペアリングの考え方…などなどを、関西人らしく、笑えるネタも交え、わかりやすく、また感動的にお話しくださいます。インパクトのあるテイスティングも、みな大喜び。見事に色づいた(!)試飲酒で、それぞれに個性を感じる、伝統の味わいを堪能。「新酒鑑評会ではワーストをとれが家訓」とか「新鮮などという感想を持たれたら、即会議!」といった、驚くべき、しかし、とても納得できる、実に剣菱らしいお話も伺え、改めて味わい造りの想いをうかがうことができ、見学後は「ますますファンになった」という声でいっぱいでした。

 

続いて、櫻正宗酒造へ移動。残念ながら社長にはお目にかかれませんでしたが、三田市技能金蘭賞受賞の原田徳英杜氏が、きめ細やかな説明とともに案内してくださいます。宮水の発見、「正宗」の名称誕生、「きょうかい1号酵母」の発祥蔵…といった日本酒の歴史的重要な数々の出来事を目の当たりにできる素晴らしい見学ですし、いわゆる、日本を代表する、大手酒造メーカーの生のお姿や魅力を十分堪能できました。
ここでの試飲はランチとともにといううれしいセッティングです。会場は、本社に隣接する、櫻正宗記念館“櫻宴” 。創醸400年の歴史を物語る展示会場があり、本社隣接ならではの原酒と会席料理を楽しめる和風レストランです。本日は原田杜氏の計らいで、他では飲めない搾りたての酒を含めた数種を試飲。神戸らしい食材のお料理とともに、ペアリング、テイスティングをさまざまに楽しみました。

最後は大阪。日本酒蔵訪問経験の豊富な審査員でも、大阪市内の酒蔵体験は少ないようです。今日は、「かたの桜」ブランドで知られる山野酒造様(交野市)へお邪魔します。ここでは、5代目当主、代表取締役山野久幸氏がお迎えくださいます。大阪と京都の風土を併せ持つこの地でのお酒造り、さまざまな新しい商品へのチャレンジなどお話を聞きつつ、2班に分かれ、蔵内を見学。酒造りはこれからというシーズンではありましたが、歴史ある麹室やモーツァルトを聞かせて熟成を行う音響振動熟成なども拝見できました。
セミナールームでは、数種の試飲を行いながら、山野社長にはさまざまな質問にお答えいただきました。お話上手な山野社長のおかげで、和気あいあいと楽しいセミナーとなりました。最後はかわいい布袋入りのお土産をしっかりいただいて、みな笑顔で終了。お疲れ様でした。

 

 

剣菱酒造様、櫻正宗酒造様、山野酒造様、大勢での参加にもご対応いただき、ありがとうございました。審査員の皆様もお疲れ様でした。移動距離、移動時間がありましたが、社内の“自己紹介”も充実して、飽きない一日でした。ご参加、誠にありがとうございました。

美酒コンクールは、地酒のある地域の活性を理念の一つに挙げています。毎年変わる開催場所にあわせ、地元の酒蔵見学の旅を企画していきます。第4回目となる2026年度は東北、宮城大会です。宮城も名酒の故郷です。審査員としてご参加の方、ぜひ、ご一緒に宮城の酒造りの現場に行きましょう。そして酒造りに携わる人々に会い、交流を深めましょう。来年の企画にご期待ください。

美酒コンクール:友田晶子